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トピックス&ニュース

「南大東村村会議員たちによる地域共生視察」報告
~村会議長・副議長・議員など14名が愛知・富山を~

 社団法人地域医療・福祉研究所(アルスヴィータ)が、一昨年、沖縄県島尻郡南大東村から委託されて40歳以上の全島民を対象にした高齢者要求調査を行い、その結果から「南大東村に地域共生ホームをつくろう」という提案を行いました。それを受けて今回、南大東村の村会議員8名と議会事務局長、社会福祉協議会事務局長、看護師、村の福祉民生課長、会計課長、地域包括支援センターコーディネーターとアルスヴィータの藤谷惠三専務理事と高橋伸スタッフの計16人で、2017年1月18日から22日までの4泊5日で、愛知県と富山県の地域共生の取り組みを視察しましたので報告します。この視察の目的は、「地域共生」「小さな拠点」「『我が事・丸ごと』地域共生」などの事例やモデルを視察することです。この季節でも20℃以上ある南大東村の視察団一行は、飛騨高山では、-8℃を初体験しビックリしまたようですが、4泊5日の日程をこなし無事帰島しました。


▲1月19日
「だいたい村」入口で記念撮影


▲1月21日
「しおんの家」で説明を聞く視察団

1月18日~22日の視察の概要

【第一日目:1月18日(水)】は、愛知県東海市の南医療生協の「生協のんびり村」を視察しました。夕方の到着にもかかわらず、たくさんの職員、組合員の方に出迎えていただき、詳しく設立の経緯や運営の仕組み、施設での看取りの事例などを説明していただき、グループホームや小規模多機能ホーム、多世代共生住宅を見学した後、地域の組合員の皆さんの手作りの夕食を振舞っていただき、南医療生協の組合員、専務、常務をはじめ職員、長久手市の職員や厚労省から長久手市に出向中の方たちと交流し、大変盛り上がり、最後は全員で「カチャーシー」を踊りました。

【第二日目:1月19日(木)】は、長久手方式で有名な長久手市の吉田一平市長を表敬訪問。市長室では、吉田市長が、「日本一の福祉の街を目指す取り組み」の説明をしてくださいました。市長の「名古屋のベッドタウンのわが市の人が増えても街にはならない。繋がりがないと街とは言えない。煩わしさが大事。人間が一緒に暮らせば、煩わしいが、それを認めないと寂しい人生になる。市民が参加しないと本物の福祉はできない。みんなに役割があり、誰もが立つ瀬がある街にしたい。」などお話しに、視察団一同感銘を受けました。長久手市には実際、「たつせがある課」という部署がありましたす。その後、視察団の一行は、社会福祉法人愛知たいようの杜」を視察しました。同施設の大須賀豊博理事長に案内いただきました。最初の視察は、小規模特別養護施設の「だいたい村」。この名前の由来は、「絶対これでないとダメだと決めると、対立や齟齬が生まれる。人が仲良く切らすためには、だいたいこのくらいというような曖昧さや寛容さが必要だから」とのこと。グループホームと小規模特養、ケアハウスなどを見学し利用者さんと交流しました。その後、たいようの杜=ゴジカラ村を視察。特養とケアハウス、グループホームなどを訪問し、地域にも開放している食堂で食事をした後、たいようの杜の最初の事業である吉田学園の自然の雑木林に囲まれた“もりの幼稚園”、古民家などを視察。園児のお弁当を見せてもらったり、遊んでもらったりしました。南大東の皆さんは、「こんな場所が、南大東村でつくれたらいいね」と話していました。


▲自然に囲まれた施設の外観


▲外で昼食をとるもりの幼稚園の園児たち

【第三日目:1月20日(金)】は、名古屋から岐阜(高山・白川郷)を通って富山に入りました。富山では、富山型デイサービスを展開するNPO法人「にぎやか」と、NPO法人「このゆびとーまれ」を視察しました。介護制度のない時代のご苦労や、障害があってもなくても毎日受け入れる取り組みなどを学びました。参加者は、「南大東でもできるかも」という感想を持ったようです。


▲「にぎやか」での視察の様子


▲「このゆびとーまれ」での視察の様子

【第四日目:1月21日(土)】は、引き続き「富山型地域共生」の視察を続けました。午前中に、フリーハウス信(しん)、グループホーム望(ぼう)グループホーム愛(あい)、さふらんの4つの家をこの地域に散在設置しているNPO法人「しおんの家」を視察。「しおんの家」は、高齢者と障害者のデイサービス、5室のフリーハウス、認知症と障害者のグループホーム、乳幼児の一時預かり、放課後デイサービス、地域に開かれた多目的スペース、喫茶店など多彩な事業を運営しています。「しおん家」は、代表の山田和子理事長の「本当に利用者さんが必要な時間にサービスができるようなお世話がしたい」という想いで始まりました。活動理念は「年齢や障害の有無、要介護状態などにとらわれず、全ての人がどんな状況に置かれても互いに助け合いながら豊かな人生を送ることができるようにお手伝いする」というものです。これだけの事業を介護保険や自立支援法だけで行うのは無理で、制度外の事業をたくさん組み合わせて、一人ひとりの状況にあったお世話をすることを追及しています。「同じ時間に食事を取ってもらう」「献立表に基づいて食事を作る」 「お風呂は同じ時間にまとまって入ってもらう」などの介護施設では当たり前のことを、「本当にこれがこの人の望んでいること?」と問い直し、献立も別々、入浴もその人の意思を尊重してお世話しています。そのため、デイケアも地域密着、フリーハウスも5室と小規模の運営です。経営的にはとても厳しい状況ですが、「これが私たちの普通の暮らし」という理念が徹底されており、高齢者や障害者の利用者同士の支え合いはもちろん、「お世話係さん」など地域とたくさんの人に支えられて実践され、それが「しおんの家」の最大の特徴となっています。


▲共生型グループホーム「しおんの家・愛」


▲山田理事長(中央)から説明を聞く様子

参考資料:視察団名簿(含む事務局)

宮城信夫議長、幸地弘副議長、議員:金川均・山田政秀・儀間明美・浜里良直・沖山千恵光・名嘉芳成(6名)、磯崎吉正社協事務局長、仲地ゆかり社協看護師、山田千鶴子包括支援センターコーディネーター、宮城克行議会事務局長、大城盛明福祉民生課長、宮平美智子会計課長、藤谷惠三地域医療・福祉研究所専務、高橋伸地域医療・福祉研究所スタッフ

<問い合わせ先>

一般社団法人 地域医療・福祉研究所 電話・Fax:03-4283-4360

※本研究所は、地峨の健康・医療・福祉の問題を住民が主体的に解決するために、自冶体や協同組合などの敬策づくりと事業開発に資する調査・研究・実践の組織を支援する非営利型の社団法人です。略称:アルスヴィータ(ラテン語略称:ARSVITA)。