• 地域医療・福祉研究所のフェイスブック
  • イベント&セミナー情報
  • 出版物はこちらから

トピックス&ニュース

ARSVITAは「2018年1月と4月に竹富町の医療・福祉を視察しました」
~視察先:小浜島・波照間島・竹富島・西表島・黒島)~

 (一社)地域医療・福祉研究所(東京都中野区弥生町、略称ARSVITA:アルスヴィータ)は、2018年1月18~19日と4月11~13日の計5日間、沖縄県八重山郡竹富町を訪問しました。この視察は、ARSVITAが南大東村での医療・福祉計画づくりに携わっていることが、県の会議で報告され、それを聞いた竹富町の福祉支援課の方からARSVITAに、竹富町での医療・福祉の今後のあり方の検討についての相談があったことが発端でした。2回にわたる離島視察の結果とブリーフィングを受けて、それらをもとに竹富町での医療・福祉のあり方や事業計画づくりについて研究と提言を行うことにしています。

 また、上記の離島関連で、4月16日、沖縄県庁の子ども生活福祉部の高齢者福祉介護課と障害福祉課、企画部の地域・離島課を訪問し、研究所のレポート「沖縄県の離島における医療・福祉連携の課題について~南大東村・竹富町の医療・福祉の実態の検討からの試案~」を説明するとともに、「現状の沖縄県の離島の医療・福祉課題の整理」を提案し、来年度以降の予算での検討を要請しました。

 今回は、竹富町訪問のまとめと今後の関わり方についての検討概要を報告します。


▲竹富町役場のある石垣島本当の港


▲町立武富診療所の概観

はじめに:視察の発端と目的とARSVITAでの位置付け

竹富町の医療福祉と弊研究所の関わりについて

 ARSVITAでは、「離島・山間僻地での医療・福祉の確保のあり方」を研究テーマとして掲げており、「住民が主体となって医療福祉サービスを総合的に創造する」事業のあり方を模索していることから、まず竹富町を訪問し、福祉支援課の方と懇談しながら、主な島の医療・福祉の現場を視察し、それをもとに竹富町での医療・福祉のあり方や事業計画づくりについて研究と提言を行うこととしました。

竹富町医療・福祉視察の目的について

 (一社)地域医療・福祉研究所が今回竹富町の医療・福祉視察と竹富町福祉支援課との懇談を行った目的は、以下の6点です。

  1. (1) 竹富町の島・地域ごとの保健・医療・福祉の現場を実際に見せていただくこと
  2. (2) 竹富町の医療を担う医師や福祉事業者と直接面談し、問題意識等についてお伺いすること
  3. (3) 竹富町福祉支援課としてお持ちの医療・福祉に関する問題意識をお伺いすること
  4. (4) 竹富町の総合計画や医療・福祉・介護に関する計画についてお伺いすること
  5. (5) 弊研究所として竹富町での地域医療・福祉の将来モデルについてご提案する資料を収集すること
  6. (6) 今後の竹富町、事業者と弊研究所の協働の可能性等について検討すること
竹富町の医療・福祉視察の全体像について

 (一社)地域医療・福祉研究所は、竹富町福祉支援課からメールでご相談を受けた2017年10月以降、先行研究や文献、統計による竹富町の医療・福祉の研究を行ってきましたが、有人島ごとに医療福祉に関する要求や対応策が違うと考え、竹富町福祉支援課の方と日程の調整を行い、2度にわたる島・地域の医療・福祉の現場視察を行いました。視察先は、比較的人口の多い、竹富島、小浜島、黒島、西表島、波照間島の5島としました。

第1回・第2回視察の概要
■第1回竹富町医療福祉視察の概要
日時:
2018年1月18~19日
視察場所:
石垣島竹富町役場、小浜島、波照間島、竹富島
■第2回竹富町医療福祉視察の概要
日時:
2018年4月11~13日
視察場所:
石垣島竹富町役場、西表島、黒島
【視察・懇談を終えての考察】

(一社)地域医療・福祉研究所は、今回の視察と前回の視察をもとに、以下の考察を行いました。

○竹富町の離島に共通する医療・福祉の課題について

  1. (1)人材の確保を最優先課題として実施する
  2. (2) 医療の確保の為の住民活動が必要である
  3. (3) 福祉・介護に関する住民要求調査を、住民参加で島ごとに実施する必要がある
  4. (4) 医療・介護に関する住民の合意形成の場を設ける必要がある
  5. (5) 町行政と社協、医療、介護事業者が協働して事業を検討する場を作る必要がある
  6. (6) 全ての工程に住民が参画できるよう工夫する
【まとめ】

(1) 竹富町の他の自治体にない発展の可能性について

一つは、人口増の可能性です。竹富町は、「少子高齢化」以外の将来像(モデル)を描くことができる可能性を持っています。

(2)今後の竹富町福祉支援課とARSVITAの関係について

「第8次高齢者保健福祉計画第7期介護保険事業計画」の実施検討を提案します。

ARSVITAは、第8次高齢者保健福祉計画第7期介護保険事業計画の具体化として今後の取り組みを提案します。

まずは、黒島の全住民に対する介護・福祉要求調査などを実施することなどを提案します。

  1. (3) 各島の各事業の人材の募集に協力します。(竹富町役場の地域包括支援センター保健師の募集に協力します)⇒定着する仕組みを整理し、募集パンフレットの作成を行います。

(4) 今後、ARSVITAとして竹富町、事業者との協働について検討を開始します。

●沖縄県庁訪問し、「現状の沖縄県の離島の医療・福祉課題の整理」の提案と予算の検討を要請

 4月16日午前中に沖縄県庁の「子ども生活福祉部の高齢者福祉介護課」と「障害福祉課」、「企画部の地域・離島課」を訪問しました。訪問の趣旨は、私たちの研究所のレポート「沖縄県の離島における医療・福祉連携の課題について~南大東村・竹富町の医療・福祉の実態の検討からの試案~」を説明し、次年度以降の予算措置の必要性について要請しました。

 上記について、これまでの私たち(一社)地域医療・福祉研究所の沖縄県離島での活動の概要を紹介し、「現状の沖縄県の離島の医療・福祉課題の整理」として以下の提案をしました。

(1)離島ごとの正確な住民要求の把握

  • 全住民を対象とした調査の実施
  • 分析作業などへの住民の参加

(2)人材確保の特別の手立て

  • それぞれの離島の状況を紹介した総合パンフレットの作成
  • 県がイニシアをとった本土での人材募集の実施
  • 離島の医療・福祉を紹介するプロモーションビデオの作成
  • 離職対策としての専門職の交流会や研修会の実施

(3)住民が医療福祉の課題に正面から向き合う仕組み作り

  • 住民が参加して離島ごとに必要な介護福祉サービスを選定
  • 医療福祉連携を考える住民の懇談の場の設定
  • 離島住民と医師、看護師、介護職員の交流の推進
  • 各離島の実践の交流、先進事例の紹介など実施

 これらの項目について、沖縄県の2019年度予算要求項目として検討することを要請しました。

 4月の異動の直後のため、それぞれの担当者との実質的な意見交換は、次回の訪問時にお願いすることとしました。

 (以上の情報提供元はアルスヴィータの藤谷惠三専務理事)

<お問合わせ先>

一般社団法人 地域医療・福祉研究所 電話・Fax:03-4283-4360

※本研究所は、地峨の健康・医療・福祉の問題を住民が主体的に解決するために、自冶体や協同組合などの敬策づくりと事業開発に資する調査・研究・実践の組織を支援する非営利型の社団法人です。略称:アルスヴィータ(ラテン語略称:ARSVITA)。